施設概要
JRいわき駅から徒歩15分、常磐自動車道いわき中央ICから車で10分。いわきアリオスは、いわき市役所本庁舎や国・県の合同庁舎などが立ち並ぶ利便性の高い場所に立地しています。
施設の正面には一体的に整備された平中央公園があり、1F・2Fから施設内に直接アプローチすることができます。
約40年にわたって市民から愛された旧平市民会館の跡地に整備した本館と、旧音楽館を改修した別館により構成。
本館は、写真の左側から大ホール棟、交流ロビー棟、中劇場棟という3つの構造に分かれ、動線の分かりやすさや使い勝手に配慮しつつも、複合施設ならではの遮音・防振上の工夫を施しています。交流ロビー棟には、誰もがいつでも憩い、くつろげる交流スペースがふんだんに設けられているほか、市民が日常的に利用する諸室群を集中的に配置しています。
| 施設名 | いわき芸術文化交流館アリオス Iwaki Performing Arts Center "Alios" |
|---|---|
| 開館 | 第1次オープン:2008年4月8日 グランドオープン:2009年5月2日 |
| 所在地 | 福島県いわき市平字三崎1番地の6 敷地面積:約11,228㎡、延床面積:約27,547㎡(地下2階・地上6階) |
| 本館 | 大ホール、中劇場、小劇場、大・中リハーサル室、スタジオ(4部屋)、カスケード(交流ロビー)、カンティーネ、カフェ、総合案内、運営事務室 |
| 別館 (旧音楽館) |
音楽小ホール、小練習室(4部屋)、中練習室(2部屋)、稽古場(4部屋) |
| 建築における受賞歴 ※主催団体 |
2009年度
2010年度
2014年度
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検討の経緯
2001年3月に策定されたまちづくりの基本指針「新・いわき市総合計画」の中に、中心市街地における新たな文化ホールの整備が位置づけられたことを受け、同年4月、企画調整部内に「文化交流施設準備室」が設置されました。
その後、2年間におよぶ市民の皆さんとの協働体制による検討の中で、このホールは、「単に老朽化した平市民会館を建て替えるのではなく、本市における芸術文化の拠点として、また、あらゆる世代にわたる市民の交流空間として整備することにより、中心市街地の賑わいづくりや交流人口の拡大にもつなげることをミッションとする」という方向性が明確化されました。
劇場のスペックと事業手法
こうした方向性を踏まえ、2003年からは劇場設計・運営の専門家(劇場計画プロジェクトチーム/主宰:佐藤信氏)による具体的なスペックの検討を重ねる一方で、PFI方式という新たな事業手法による施設整備のプロセスに移行し、2005年から施設設計に、また、翌2006年からは建設工事に着手し、2008年4月8日の第1次オープンを経て、2009年5月2日にグランドオープンを迎えました。
沿革
3月
新・いわき市総合計画基本計画策定
4月
企画調整部内に文化交流施設準備室発足
6月〜
市民検討懇談会・ワーキングチーム設置
3月
懇談会から市長へ提言
5月
市文化交流施設基本構想・基本計画策定(提言内容を反映)
5月〜翌3月
市民企画運営準備会設置(懇談会+ワーキング委員の継続)
6月〜翌3月
PFI導入可能性調査
5月〜
劇場計画プロジェクトチーム(TPT)設置
9月
PFI実施方針策定・公表
1月
PFI特定事業選定(TPTの検討結果を要求水準書に反映)
3月〜8月
PFI審査委員会による審査・優先交渉権者決定
12月
PFI特定事業契約の締結(株式会社いわき文化交流パートナーズ)
1月〜12月
施設設計(平中央公園・音楽館改修設計を含む)
1月〜
建設工事
4月
第1次オープン(第1期工事竣工:07年8月末)
5月
グランドオープン(第2期工事竣工:08年12月末)
5月
開館5周年
10月
第33回有馬賞受賞 ※NHK交響楽団より
1月
地域創造大賞(総務大臣賞)受賞 ※(財)地域創造より
5月
文化庁長官表彰(文化芸術創造都市部門) ※文化庁からいわき市に対し表彰
8月
来館者500万人到達
5月
開館10周年
2月
維持管理業務を包括的民間委託契約により業務委託(清水建設株式会社東北支店/2028年3月まで)
3月
PFI特定事業契約が満期を迎え、終了
4月
「ネーミングライツ・パートナー」制度スタートにより「アルパイン大ホール」、「いわしん音楽小ホール」が誕生
5月
開館15周年
4月
「ネーミングライツ・パートナー」新たに2社が加わり「セキショウ中劇場」、「GSユアサいわき小劇場」が誕生
PFI事業について
いわきアリオスは、PFI事業として進められてきました
PFI事業とは、これまでの公共施設とは異なり、施設の設計、建設、そして管理運営を民間の資金やノウハウを活用して実施することです。いわきアリオスの場合、この方式を採用した結果、かなりのメリットが生み出されています。
一つは、コスト(価格)面です。一般的な方法で施設整備を行った場合と比較すると、設計、建設、そして15年間の維持管理コストを含めて、およそ25%(約52億円)の縮減効果がもたらされています。そしてもう一つは、サービス(内容)面です。公共施設を整備する場合、一般的には、設計は設計会社に、建設は建設会社に、管理は管理会社に、というように、業務の段階に応じて細切れに発注することになります。しかしPFI事業では、これらの会社が当初からコンソーシアム(連合体)を組むので、みんなで知恵を寄せ合って、トータルで物事を判断して、最適な方法を選択することが可能です。
いわきアリオスの場合は、発注者である市が事業者に選定されたコンソーシアム(PFI事業者=いわき文化交流パートナーズ)と何度も何度も打合せを重ね、プロセスを共有することができたので、とても良い施設に仕上がったといえます。
PFIなのに、なぜ「直営」?
いわきアリオスでは、このPFI方式の導入に当たって、一つの重大な決断をしました。
それは、施設の「運営」をPFI事業の枠から外し、市が「直営」で行うというスタイルをとったことです。なぜなら、この施設のミッションは、冒頭でも掲げているように、芸術の力、アーティストの力を借りて、いわきに、そしてここに住む人々に元気と勇気を与えることだからです。
運営に期待されるサービス水準が決まっていて、単に効率的、合理的なマネジメントのみが求められるのであれば、それをPFI事業に組み込んで、民間のノウハウで実施してもらうことも選択できたでしょう。しかし、いわきアリオスが真の意味で市民の生活になくてはならない施設として機能するためには、時には「効率」よりも他の要素、つまり「お客様の笑顔」や「地域にもたらされる価値」を優先しなければなりません。もちろん、すぐに効果が現れるものばかりではないので、未来に夢を託しながら、長い目で少しづつ種蒔きをしていくことも必要です。
そのためには、やはり設置者である市が責任を持って運営していくことが大事だと考えます。
専門スタッフのパフォーマンスを最大限に
「直営の文化施設」。そこには、おそらく決まったイメージが付きまとっていることでしょう。
いわきでもしばしば利用者の皆様からお叱りを受けます。
しかし、「直営のいわきアリオス」は、そうしたイメージとはかけ離れたものになっているはずです。そのために、いくつかの工夫をしていますが、最も特徴的なのは、質の高い施設サービスや音楽・演劇公演の企画制作、戦略的な広報やマーケティング、そして照明や音響設備の操作といった専門スタッフを、市の嘱託職員として採用している点です。さらに、市の正規職員を総務や施設管理セクションに配置し、直営ならではの行政的な事務・財務手続きにも配慮しながら、それぞれの専門性を効果的に組み合わせることによって、利用者の視点に立った新たな劇場運営のスタイルを追求し続けていこうとしています。